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遺産相続はいつまでに終わらせるべき?

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遺産相続開始から10カ月後までを目標に

遺産相続は、いつまでに終わらせるのが理想でしょうか?遺産相続の開始地点は、被相続人の死亡のタイミングです。そして遺産相続の終了地点は、相続税の申告と納付です。相続税がかからない遺産相続の場合は、財産の名義変更が済めば遺産相続は終了となります。

遺産相続開始から終了までは、10カ月以内を目標にしましょう。これは、相続税申告の期限が相続開始から10カ月以内となっているからです。

意外と時間があると感じてしまうかもしれませんが、遺産相続の様々な手続きは相続人全員の共同作業が必要だったり、手続きに予想外の時間を取られたりするものです。遺産相続はいつまでに終わらせるべきかを考えた場合には、とにかく早め早めの行動を心がけましょう。

 

遺産相続のスケジュールを紹介

では、遺産相続開始から終了までの全容を、期限ごとにご紹介します。

遺産相続開始後3カ月以内に行うべきこと

まずは、遺言書の捜索と検認が必要です。家や貸金庫、会社や車の中などを探して、遺言書がないか確認します。もし見つかった場合は開封せずに、家庭裁判所の検認を受けます。

公証役場などに公正証書遺言が残っている場合もあるので、公証役場にも問い合わせます。なお、公正証書遺言の場合、検認の必要はありません。

遺言書を探し終わったら、遺産相続の相続人の調査を行います。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本や除籍を集めて、相続人が誰なのかを確認します。

次に、遺産相続対象になる遺産の範囲を調査します。現金や預貯金、不動産や株式など価値のある遺産だけでなく、借金などもすべて調べます。

ここで徹底した調査をしないと、後になって借金が見つかったり、思わぬところで財産が見つかったりする可能性もあります。どちらの場合も非常に面倒なことになりますので、遺産の調査は綿密に行いましょう。

遺産を調査した結果、価値のある財産を上回るほどの借金が見つかった場合は、相続放棄や限定承認を検討できます。

相続放棄とは、負債を含めすべての財産を相続しないことを家庭裁判所へ申し立てるものです。これによって、最初から相続人ではなかったこととされます。

限定承認とは、相続できる財産の範囲内でのみ被相続人の負債を弁済するものです。相続人自らが自分の財産を用いて弁済する必要はありません。相続放棄は相続人個人の意思でできますが、限定承認は相続人全員の合意が必要です。

また相続放棄や限定承認は、相続開始後3カ月以内に申立てる必要があります。3カ月を経過すると単純承認(無条件に相続を認めた)と見なされてしまい、取り返しのつかないことになりかねませんので注意しましょう。

ちなみに被相続人が生命保険に加入していたなら、保険金の請求も3カ月以内を目安に行います。

遺産相続開始後4カ月以内に行うべきこと

遺産相続開始から4カ月以内に、被相続人の所得税の準確定申告を行いましょう。相続人全員の連署をした確定申告書とその付表を、被相続人の納税地(通常は住所地)の税務署へ提出します。

被相続人が死亡した年の所得税は相続人が申告し、納税しなければなりません。この時の納税分は、相続開始時の確定債務と見なします。もし還付金などが受け取れる場合は、それを相続財産に含めます。

遺産相続開始後10カ月以内に行うべきこと

準確定申告までが済んだら、いよいよ遺産分割協議の開始です。遺産分割協議は、相続人全員の参加が必要です。一度に全員が集まって行う協議以外にも、電話や郵便、メールなどでも可能です。

協議が固まったら、その内容を遺産分割協議書という書面にしておき、相続人各自が保管します。遺産分割協議書への署名捺印は、相続人本人が自筆で行う必要があります。

また、不動産の相続登記もこのタイミングで行います。遺産相続で相続した不動産の所在地の地方法務局へ登記申請します。

相続登記は、遺産分割協議が終了していなくても行えます。できるだけ速やかに済ませた方が良い手続きなので、遺産分割協議が長引きそうな場合は先に相続登記しておくこともできるでしょう。

ここまでの手続きが終了したら、残るは相続税の申告と納付のみです。被相続人の最後の住所地の税務署へ申告します。相続税の申告や納付も、遺産分割協議が済んでいなくても行えます。

しかし遺産分割協議が済んでいれば、税制面での軽減措置が受けられるため、基本的には申告期限までに遺産分割協議も合意に達している方が良いでしょう。

 

まとめ

遺産相続をいつまでに終わらせるべきかは、相続開始後10カ月以内がベストです。普段の仕事や家事にプラスして遺産相続手続きを行わなければならないので、10カ月という期間は思った以上に短いかもしれません。

また、相続税の申告期限の直前であたふたしても、税理士によっては直前ですと受任を断られたり、割高になったりしてしまうこともあります。そのため、相続税申告については余裕があるうちに早めに税理士に依頼すると良いでしょう。