遺産相続・遺産分割 2018.04.28

遺産分割でもめるケースを紹介

遺産分割は相続人にとって、自分の経済的利益に直結することです。そのため、必然的に遺産分割でもめる可能性も高くなります。

遺産分割協議で相続人がもめるなら、家庭裁判所での調停や審判で決着を付けなければならなくなり、相続人同士の関係は冷え切ってしまいます。

遺産分割でもめるケースはある程度、定番化しているため、事前に知っておけば大規模にもめることを予防することは不可能ではありません。ここでは、遺産分割を巡ってもめる可能性が高いケースをご紹介します。

記事ライター:棚田行政書士

遺産分割でもめるケース1. 遺言書を作成していない

遺言書は、自分の死後の遺産分割をどのように進めて欲しいかを伝えるための大切な書類です。しかし実際には、遺言書を作成していない人が多数いるようです。

遺言書などの用意をしなくても、仲の良い家族だから遺産分割でもめることはないと考えている方は多いのではないでしょうか。しかし、それは甘い考えだと言えます。

遺言書を作成していなかったために、遺産分割の段階になって、家族の関係が破綻するほど大きくもめるケースも少なくありません。

資産家は、自分の遺産分割で家族がもめることのないように、しっかり遺言書を準備しています。お金持ちの遺産分割では大掛かりにもめることが少ないのはこのためです。

 

遺産分割でもめるケース2.  遺産が少ない・分割しづらい遺産しかない

遺産分割対象の遺産が少ないことも、もめる原因になります。

遺産が少ないことが事実であっても、一部の相続人が「誰かが遺産を隠しているのでは?」と疑念を持ち、他の相続人を疑いの目で見始めることがあります。

疑われた方の相続人にとっても気持ちの良いことではありませんので、遺産分割でもめるきっかけになってしまいます。

遺産分割対象の遺産が、相続人に平等に分けることが難しい遺産しかない場合も、もめる可能性が高くなります。遺産分割がしづらい遺産として代表的なものは、「土地や建物」などの不動産です。

遺産と呼べるものが被相続人の自宅、相続人にとっての実家しかないというケースは珍しくありません。相続人が2人いる場合、実家を二等分するというわけにはいきませんから、どちらか一方が実家を相続することになるでしょう。

そうなると、もう一方の相続人は遺産相続を諦めるか、実家を相続する相続人から代償を支払ってもらうことで合意するしかなくなります。

遺産分割がされないことにあっさり納得する相続人は多くありませんし、代償も約束通りに支払われるかどうかは分からないものです。そのため、もめる可能性が極めて高い遺産分割となるでしょう。

 

遺産分割でもめるケース3.  認知した非嫡出子や、前の結婚で誕生した子どもがいる

被相続人が男性の場合、家族に内緒で認知した非嫡出子がいたり、前の結婚で子どもが誕生していることを家族が知らなかったりするケースもあります。

非嫡出子でも認知されていれば、相続人として遺産分割を受ける権利があります。以前の結婚で誕生した子どもも被相続人の子どもに変わりはないため、相続人として遺産分割に参加させなければなりません。

非嫡出子や以前の結婚で誕生した子どもは、被相続人との関係も希薄であることがほとんどです。それに加えて、被相続人の現在の家族は、彼らの存在を把握していないケースが大半でしょう。

家族としては、非嫡出子や以前の結婚で誕生した子どもを相続人として遺産分割に加えることには納得がいかないでしょう。もめることになるとしても不思議ではありません。

 

遺産分割でもめるケース4. 寄与分を主張する相続人がいる

遺産分割では、相続人のうちの誰かが「寄与分」を主張する場合があります。これも、もめる原因になり得ます。

よくある例では、被相続人の介護をしていた子どもが、自分は寄与分に該当する相続人であると主張することがあります。介護をせずに実家を出て家庭を持った兄弟よりも、多くの相続分を求めるということです。

しかし、他の相続人は、介護をしていたとしても被相続人と同居することで生活費を浮かせていたのだから、介護に対する対価はすでに支払われていると主張し、寄与分を認めない場合があります。

介護をしていた相続人が納得しなければ、もめることになるでしょう。

 

遺産分割でもめるケース5. 相続人の人数が多い・関係が険悪

相続人の人数が多ければ多いほど、全員が納得するように遺産分割をすることは難しくなり、もめる可能性が高まります。相続人同士の関係性が悪い場合も、お互いに協力し合って遺産分割協議を進めることは困難になるため、もめることになるでしょう。

 

まとめ

遺産分割でもめることが多いのは、ごく普通の中流階級の家庭です。遺産分割でもめることを未然に防ぐためには、遺産の額や社会的立場に関わらず、遺言書を作成しておくことです。

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