相続人・遺留分 2018.02.15

相続人が先に死亡していた場合どうなる?

相続法は基本的に、財産は親から子へ、子から孫へ受け継がれるという前提で施行されています。自然の順序で人が死亡する場合、普通は子どもより親が先に死亡する可能性が高く、子どもは親の財産を相続することになります。

しかし、親より先に子どもが死亡することもあり得ます。死亡した子どもはもう相続することができませんから、孫の代は財産を相続することができないことになってしまいます。このように、相続人が被相続人より先に死亡した場合はどうしたら良いのか、状況別の手続きをご紹介します。

記事ライター:棚田行政書士

死亡した相続人が、直系卑属の相続人である場合

被相続人の直系卑属である相続人が死亡している場合は、その死亡した相続人の子どもが代わりに相続権を得ます。これを「代襲相続」と呼びます。そして代襲相続する人は、「代襲相続人」と呼ばれます。

民法887条第1項、2項【子及びその代襲者等の相続権】
1.被相続人の子は、相続人となる。
2.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

このように代襲相続は、相続人が死亡した場合だけでなく、相続人が相続廃除・欠格などの理由で相続人ではなくなった場合も可能です。ちなみに相続人が相続放棄した場合は、その相続人は元々いなかったものとして扱われるため、代襲相続の理由にはなりません。

死亡した相続人の子どもはいるが、まだ生まれていない胎児の場合であっても、代襲相続人になることができます。民法においては、胎児であっても一人の相続人として数えられるためです。

ただし子どもが死産で生まれてしまうと相続権を失ってしまうため、代襲相続人として遺産分割を行う場合は子どもが生まれた後にすることがベストです。

もし、死亡した相続人の子どもも死亡している場合は、さらにその子どもへ代襲相続の機会が与えられます。これは「再代襲相続」と呼ばれます。民法887条第3項で、次のように定められている通りです。

民法887条第3項【子及びその代襲者等の相続権】
前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

被相続人の直系卑属として実際に生存している人は、多くてもひ孫くらいまでかもしれません。しかし民法においては繰り下げられる代に限度は設けられておらず、法律上は無限に下の代へ繰り下げることができます。

 

死亡した相続人が、配偶者や兄弟姉妹である場合

では、死亡した相続人が被相続人の配偶者や兄弟姉妹である場合はどうなるでしょうか?配偶者の場合は、被相続人から見た直系卑属には当たらないため、代襲相続はできません。

もし死亡した配偶者に連れ子などがいた場合も、連れ子は被相続人の直系卑属ではないため、代襲相続人にはなれません。

被相続人の兄弟姉妹が先に死亡している場合は、被相続人の甥や姪にあたるその子どもが代襲相続人となることができます。直系卑属の子どもの場合と異なる点として、被相続人の甥や姪の代襲相続は一代限りです。甥や姪の子どもは代襲相続人となることはできません。

また、代襲相続は被相続人の直系卑属のみに限定されています。被相続人の父母・祖父母はもともと直系尊属であるため、被相続人の死亡前に死亡していたとしても代襲相続という扱いにはなりません。

 

死亡した直系卑属の相続人が養子の場合、その子どもは代襲相続できる?

被相続人の子どもで、かつ養子である場合があります。養子である相続人が死亡した場合は、その子どもが代襲相続できる場合もありますが、できない場合もあります。

例えば、すでに子どもがいる人が被相続人の養子になった場合、養子であるその人の子どもと被相続人との間には親族関係が成立していないことになります。したがってこの場合、養子の子どもは被相続人の直系卑属には当たらず、代襲相続はできません。

一方、被相続人が養子として迎えた後に誕生した養子の子どもは被相続人の孫となり、直系卑属に当たる親族となります。この場合は、養子の子どもであっても代襲相続することが可能です。

つまり、養子になった後に誕生した子どもか、その前に生まれていた子どもかによって、養子の子どもが代襲相続できるかどうかが決まります。

 

まとめ

一般的に、相続人である子どもが親より先に死亡することは少ないものの、その可能性はゼロではありません。万が一の場合も若い世代へより多くの財産を残してあげるために、代襲相続に関する正しい知識を習得しておきましょう。

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