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相続人が所在不明の場合の遺産相続の進め方

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相続人が所在不明のままでは、遺産相続は進まない

遺産相続には、相続人全員が参加する必要があります。所在不明の相続人がいる場合も、その人について何の手続きもしないままに遺産相続を進めていくことは不可能です。

所在不明の相続人がいて困っている場合には、所在不明となっている期間に応じて必要な対処をしましょう。

所在不明の期間が7年未満の場合、所在不明の期間が7年以上の場合、所在不明の相続人以外に相続人はいない場合の3つのパターンに分けて、具体的な対処方法をご紹介します。

 

相続人の所在不明期間が、7年未満の場合

この場合は家庭裁判所へ、不在者財産管理人の選任申立てを行います。主に必要になる書類は、次の5点です。

・不在者財産管理人の選任申立書
・所在不明者および申立人の戸籍謄本
・不在者財産管理人候補者の戸籍謄本および住民票
・不在の事実を証明する資料
・遺産分割協議書案など

不在者財産管理人の申立て先は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。申立てを行えるのは、所在不明の相続人の配偶者や共同相続人、被相続人の債権者や特定遺贈を受けた人、特別縁故者などの利害関係者です。

不在者財産管理人は家庭裁判所によって選任されますが、一般的に候補となるのは、遺産相続において利害関係にない親族や、弁護士や司法書士などの専門家です。

不在者財産管理人に選任された人は、所在不明の相続人の代理として遺産分割協議に参加するための「権限外行為許可の申立て」を行うことも必要になります。

 

相続人の所在不明期間が7年以上の場合

所在不明の期間が7年以上なら、家庭裁判所へ「失踪宣告」を申し立てることができます。失踪宣告は、所在不明の相続人は死亡したとみなすものです。

この場合は代理人などを選任する必要もなく、今いる相続人だけで遺産分割協議を行うことができるようになります。

もし、所在不明の相続人に子どもがいるなら、子どもが代襲相続人として遺産分割協議に参加することができます。

相続人の所在不明期間が7年以上の場合は、失踪宣告をするか不在者財産管理人の選任をするかを自由に選択することができます。

ただし、所在不明で7年以上経過している場合でも、生存していることが確認されているようであれば失踪宣告はできません。

 

所在不明の相続人の失踪宣告で、相続人がいなくなる場合

所在不明の相続人以外に相続人がいれば、遺産相続は問題なく進んでいきます。しかし、所在不明の相続人について失踪宣告をすることで、相続人が一人もいなくなってしまう事態も考えられます。

この場合は、相続財産を管理する人を新しく立てなければならないので、家庭裁判所へ「相続財産管理人の選任申立て」を行います。

相続財産管理人の選任申立てがされると、家庭裁判所は1年以上の時間をかけて、次のような手続きを行います。

1.相続財産管理人の選任申立て

まずは共同相続人や利害関係者が、相続財産管理人の選任申立てを行います。家庭裁判所は相続財産管理人選任の審判を行い、相続財産管理人が選任されたことを公告します。

2.債権者・受遺者確認の公告

1の段階を踏んでから2カ月経過すると、債権者や受遺者を探すための公告がなされます。

3.相続人捜索の公告

2の段階を踏んでから2カ月経過すると、相続財産管理人の申立てによって、6カ月以上の期間に渡る相続人捜索の公告がなされます。期間満了までに相続人が見つからない場合には、相続人がいないことが確定します。

 

3の段階が終了して相続人がいないことが確定すると、特別縁故者が相続財産の分与を請求できるようになります。

被相続人と特別親しい関係にあり相続財産の分与を希望する特別縁故者は、3の公告が満了してから3カ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ請求します。

その人への分与を認めるか、認めるなら遺産をいくら与えるかという詳細は、家庭裁判所の審判によって決定されます。

相続財産管理人は1~3の手続きをしている最中にも、債権者や受遺者へ支払うべき財産を支払ったり、家庭裁判所の許可のもと財産を売却して金銭に換えたりという手続きを行います。

支払いなどを終えてもまだ財産が残っている場合には、相続財産は国庫に引き継がれます。これで相続財産管理人の業務は終了です。

 

まとめ

所在不明の相続人がいる場合は、所在不明の期間や他の相続人の有無によって取るべき対処方法が異なります。中には非常に時間のかかる手続きもあるので、所在不明の相続人がいる場合には迅速に対処しましょう。