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遺産を相続人で分けるときの割合はどうなる?

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遺産分けのために遺産分割協議が必要

遺産分割で共有している遺産を分ける

親族が亡くなって遺産相続が発生したときに、相続人となる人が複数いれば、相続開始と同時に、相続人全員が法定相続分(民法上の相続割合)に応じて遺産を共有している状態になります。しかし、いつまでも共有のままでは都合が悪いため、相続人の間で遺産を分ける「遺産分割」が必要になります。

遺産分割協議とは

遺産分割は、相続人全員の話し合いで分けることになります。相続人による遺産分割の話し合いのことを遺産分割協議といいます。遺産分割協議では、誰がどの財産を取得するか、共有にする場合にはどういった割合にするかなどを話し合います。

遺産分割協議が成立すれば、その内容を遺産分割協議書という書面にします。実際の相続手続きは、遺産分割協議書にもとづいて行うことになります。

 

遺産は民法で定められた割合で分けるのが原則

遺産分割の割合も法定相続分が基準になる

遺産分割を行うまでは、遺産は民法上の相続割合である法定相続分に応じて共有しています。遺産分割を行うときにも、各相続人が相続する財産の割合は、原則として法定相続分の割合になるようにします。

たとえば、相続人が被相続人の配偶者と長男、次男の3人である場合、各相続人の相続割合は、配偶者2分の1、長男4分の1、次男4分の1になります。この場合、もし相続財産の総額が4000万円であれば、配偶者2000万円、長男1000万円、次男1000万円になるように遺産分割するということです。

代償分割や換価分割で割合を調整する方法もある

遺産分割の際には、法定相続分の割合で分けるのが原則といっても、実際にはうまく分けられないこともあります。

たとえば、不動産は、共有にすれば処分するにも共有者全員の合意が必要になるため、できるだけ共有にしない方が安心です。しかし、相続財産として不動産しかない場合、1人が不動産を取得すれば、他の相続人が取得するものがなくなってしまいます。

このような場合には、代償分割や換価分割という方法が有効です。代償分割とは、財産を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払うことで、各相続人が取得した金額の割合が法定相続分どおりになるように調整する方法です。

また、換価分割とは、相続財産を売却して換金したうえで、法定相続分の割合で分ける方法になります。

法定相続分どおりでない割合の遺産分割も有効

遺産分割協議においては、必ずしも法定相続分の割合で遺産を分けなければならないわけではありません。相続人全員が合意していれば、法定相続分どおりでない割合の遺産分割も有効とされています。

なお、相続人間の話し合いで遺産分割ができない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判を利用して遺産分割を行うことができます。

遺産分割調停では法定相続分どおりでない遺産分割が行われることもありますが、遺産分割審判では各相続人の相続割合は法定相続分どおりになります。

 

相続人が借金を相続する割合

借金の負担割合についての合意は債権者に対抗できない

上述のとおり、各相続人が遺産を相続する割合は、必ず法定相続分どおりになるとは限りません。遺産分割協議で法定相続分とは全く違う割合の財産を取得するケースもあります。

ただし、相続割合を話し合いで自由にできるのは、あくまでプラスの相続財産のみになります。マ借金などのマイナスの相続財産については、仮に相続人間で負担割合を決めても、債権者にその負担割合を主張することはできません。

借金は各相続人が法定相続分の割合で負担する

被相続人が借金を残している場合、各相続人は、法定相続分の割合に応じて、支払い義務を負います。借金の支払い義務を逃れたい場合には、相続放棄をする必要があります。

ただし、相続放棄をすれば、プラスの財産を相続することもできません。プラスの財産とマイナスの財産がどれくらいあるのかを把握したうえで、マイナスの財産が多いときには相続放棄を選択すべきでしょう。

相続放棄には、相続開始を知ったときから3か月以内という期限もあります。被相続人に借金がある場合には、遺産相続開始後速やかに相続財産調査を行って、相続放棄するかどうかを検討しましょう。