相続税 2017.10.02

相続税はいくらから課税されるのか

平成27年の相続税の改正により、相続税の課税範囲が大幅に拡大されました。これによって、今後は相続税がいくらから課税されるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
相続税がいくらからかかるのかについては、相続税の課税の仕組みをある程度理解する必要があります。
そこで今回は、相続が発生した際に、相続税がいくらからかかるのかについて解説します。

記事ライター:棚田行政書士

相続税がいくらからかかるかは、課税対象財産による

相続税の課税対象となるのは、課税対象財産です。そして、課税対象財産とは、相続財産から基礎控除額を引いた金額です。
基礎控除額の計算式は、以下の通りです。

3,000万円+600万円×法定相続人の人数=基礎控除額

相続人の人数に応じて、基礎控除額は次のようになります。

1人の場合:3,600万円
2人の場合:4,200万円
3人の場合:4,800万円
4人の場合:5,400万円

相続税がいくらからかかるかというと、相続人の人数に応じて、被相続人の残した遺産総額が、上記の金額を超えてからかかると言えます。基礎控除額を超えなければ、相続税は課税されず相続税申告の必要もありません。

 

相続税がいくらからかかるかは、相続税評価額がポイント

被相続人が残した財産のうち、預金などについては残高証明書を取得して記載されている金額が、そのまま財産の額となります。

ところが、土地や建物などの不動産や株式などについては、そのもの自体に価額が記載されていないため、独自に評価額(正式には、相続税評価額と言います)を計算しなければなりません。

例えば、土地であれば路線価や地積を使って評価額を算出します。なお、土地と一言で言っても、全く同じ形状の土地は存在しません。

同じ100㎡の土地だとしても、正方形の整形されている土地と、形がいびつな不整形地では、土地の利用価値が全く異なるため、適切に評価額を修正する必要があります。

相続税がいくらからかかるのかは、土地の評価額に大きく左右される

相続財産の中で最も多くの割合を占めるのが「土地」です。よって、土地の相続税評価額をいくらで評価するのかによって、相続税がいくらからかかるのかが変わってきます。
土地の評価方法については、一定の通達などは出ていますが、土地そのものの持つ個別の特徴などについては、相続税申告を担当する税理士自身の手腕に託されることとなります。

土地の評価額は「合理的な説明がつく」かどうかがポイントですので、相続税申告の経験が多い税理士の方が、より適切に評価額を引き下げることができ、結果として相続税を節税することができるのです。

時価によって相続税がいくらからかかるのかが決まる

相続税の課税対象となる相続税評価額は、相続税法で「その財産を取得した時の時価による」と定められています。
時価とは、被相続人が死亡した日の時点で、一般の自由取引において成立するとされる価格のことを言います。

相続税がいくらからかかるのかのポイントとなる、相続税の課税対象財産は「金銭に見積もれるもの全て」とされています。よって、預貯金、不動産、株式だけではなく、骨董品や美術品などについても課税対象となるため、相続税評価額を算出しなければなりません。

ただ、財産の種類によって性質が異なるため、時価といっても簡単には合理的な金額が算出できません。

そこで、国税庁では財産に応じた評価方法を「財産評価基本通達」と「相続税基本通達」によって示しています。ここに記載のある評価方法を基準にして、それぞれの財産の相続税評価額を算出していくと、相続税がいくらからかかるのかが徐々にわかってきます。

なお、「財産評価基本通達」と「相続税基本通達」については、国税庁のホームページで閲覧することができます。

これらの通達は、国税庁や国税長官が税務署に対して出している通達で、相続税法などの法律の解釈について具体的に書かれていますので、相続税がいくらからかかるのか気になる人は、一度見てみると良いでしょう。

 

家財道具にも相続税は課税されるのか

相続税の課税対象は「金銭に見積もれるもの全て」とのことですが、家財道具も対象となるのでしょうか。

原則から言うと、家財道具も相続税の課税対象となります。
例えば、エアコンや空気清浄機など被相続人が購入して設置しているものについては、時価をネットの情報などを参考に調べて申告する必要があります。

ただし、家財道具一つ一つを評価していると大変なので、1個又は1組の価格が5万円以下であれば「家財道具一式」などといった形で評価額をまとめて評価しても差し支えありません。

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