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相続税だけじゃない!生命保険に課税される税金を徹底解説

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生命保険の契約形態について

生命保険の税金について解説する前に、生命保険の契約形態について簡単に説明したいと思います。というのも、生命保険は同じ保険商品だったとしても契約形態が違うだけで課税される税金が違ってくるからです。

生命保険の契約は、基本的に次の4つの人を決めることからスタートします。

契約者:生命保険を契約する人のこと

被保険者:保険をかける人のこと

受取人:保険金を受け取る人のこと

保険料負担者:保険料を支払う人のこと

これらの項目は全て同じ人にすることもできますし、全部別人にすることも可能ですが、どのような組み合わせにするのかによって課税される税金に違いが出てくるのです。

 

相続税が課税されるケース

生命保険は被保険者が死亡した時に、受取人に対して保険金が支払われます。

保険金は受取人固有の財産とされていることから、遺産分割の対象から除外することができる点が特長です。

ただ、遺産分割の対象外ではあるものの相続税については課税対象である点に注意する必要があります。(みなし相続財産)

保険金の相続税非課税額

生命保険の保険金は全額相続税が課税されるのではなく、次の非課税額を超えた部分について相続税の課税対象となります。

保険金の非課税額=500万円×法定相続人の人数

そのため生命保険に加入する際には、将来の法定相続人の人数を予想して相続税の非課税額を計算し、非課税額におさまる生命保険に加入することがおすすめです。

 

相続税が課税される保険の契約形態

相続税は次の組み合わせの保険の場合に課税されます。

契約者:X

被保険者:X

受取人:Y

保険料負担者:X

この場合、Yに対して非課税額を超えた場合に相続税が課税されます。

 

贈与税が課税される保険の契約形態

贈与税は次の組み合わせの保険の場合に課税されます。

契約者:X

被保険者:Y

受取人:Z

保険料負担者:X

この場合、Zに対して贈与税が課税されます。

受け取るものはYの死亡保険金ではあるものの、実質的には保険料を負担しているXからZに対する贈与とみなされてしまうからです。

 

所得税が課税される保険の契約形態

所得税は次の組み合わせの保険の場合に課税されます。

契約者:X

被保険者:Y

受取人:X

保険料負担者:X

この場合、Xに対して所得税が課税されます。

保険料自体を自分で負担しているため、Yの死亡によって支払われる保険金ではあるものの相続税は課税されずXの所得として所得税が課税されるのです。

ただ、課税対象となるのは保険金全体ではなく支払った保険料と受け取った保険金の差額に対してなので、相続税や贈与税に比べると負担は少ないでしょう。

 

保険金を受け取っていないのに相続税がかかる!

保険の契約においては「保険料負担者」が誰になるのかによって、思わぬトラブルを引き起こします。

通常は契約者と保険料負担者は同じになるのですが、子供が契約者で祖父母が保険料を負担して保険に加入しているケースが多いのです。

この場合は保険料を負担している途中で親が死亡すると相続税が課税されます。

契約者:子

被保険者:父

受取人:子

保険料負担者:祖父

このような保険契約の場合、一見すると祖父から孫への生前贈与のように見えるかもしれませんが、実はこれでは孫への贈与が成立していないため、祖父が死亡した際に保険金は支払われないものの、その時の保険の解約返戻金相当額に対して子に相続税が課税されてしまうのです。

通常このようなケースでは、祖父の口座から直接口座振替で保険料が引き落とされていることが多いので、孫への贈与とは認められません。

相続税を回避する方法

生命保険を使って生前贈与をしたい場合は、祖父が直接保険会社に保険料を支払うのではなく、祖父から孫に贈与税の非課税枠の範囲内で贈与をした上で、孫の口座から保険料を支払うことで贈与が認められる可能性が高くなります。

ただし、孫の銀行口座を祖父が管理していたような場合については、やはり生前贈与と認められない可能性がありますので注意が必要です。

 

まとめ

このように生命保険には契約形態によって課税される税金が、相続税、贈与税、所得税と変化するため、これから生命保険に加入する人は将来どの税金が課税されるのかを確認することをおすすめします。

特に保険料負担者と契約者が別人になる場合については、相続が発生した際にトラブルになる可能性がありますのでできるだけ避けたほうがよいでしょう。