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なぜ相続税という税金が存在するのか

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相続税はなぜ必要か

相続税の存在意義についてはいろいろなことがいわれていますが、これには大きく分けて2つの意味合いがあるとされています。

所得の再分配

もしも世の中に相続税という制度がなかったらどうなるでしょうか。

親が金持ちの家に生まれたら、子供は自動的に金持ちになる可能性が高くなり、反対に経済的に苦しい家に生まれたらその分苦労する可能性が高くなります。

こういう状況が継続すると、貧富の差を生んでしまい所得格差や生活レベルの格差が世帯ごとに生じてしまうことも考えられるのです。

親の財産を相続する際に相続税という税金を課税することで、一定の所得再分配の機能をもたせ、富の集中を排除して国民それぞれの間での経済的格差を是正する目的があります。

所得課税の補完

相続税のもう1つの側面が所得課税の補完です。

亡くなられた方が生前に築きあげてきた所得について、相続税を課税することによってまとめて清算して、相続財産を取得する相続人の純資産が増加することを所得と考えて税負担を課すという側面もあります。

近年は高齢化社会によって老後扶養にかかる社会保障財源を確保する目的で、相続税を課税することで社会に所得を還元させるという意味合いもあるようです。

このように所得の再分配と所得税課税の補完という2つの重要な目的があることから、相続税という税金が必要なのです。

 

海外では相続税はかかるのか

相続税という税金は日本だけの制度ではありません。

例えば先進諸国G7(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)の相続税制を見てみると、カナダ以外の国については相続税と同様の制度が設けられています。

ただ、カナダは所得税に相続税の機能の一部を代替させているので、実質的にはG7全ての国で相続税に類似する制度が整備されているといえるでしょう。

富の再分配と資産格差の固定化を防止するために、相続税という税金はある種欠かせないものといえるかもしれません。

日本では近年相続税制が改正されて、相続税の基礎控除額が大幅に下がったことから、事実上の増税ともいわれています。増大する社会保障の事などを考えると、これまでのように相続税が一部の富裕層のみに課税される税金ではなく、一般化してくることはある程度仕方がないことともいえるでしょう。

 

相続税はいくらからかかるのか

では相続税はいくらからかかるのでしょうか。実はこのご相談がとても多いのです。

結論からいうと、いくらから相続税がかかるのかについては、相続人の人数や構成によって大きく左右されます。

例えば、相続人に配偶者が含まれる場合の相続のことを一次相続といい、配偶者の税額軽減という特例が使えるため相続税はかからない可能性が高くなるのです。

配偶者が相続する財産については、法定相続分もしくは1億6,000万円のいずれか高い金額までは非課税になるので、大部分のご家庭では相続税は課税されません。

一方で配偶者がいない二次相続のケースでは、このような大幅な軽減制度はないので、相続税が課税される可能性が高まります。

なぜ相続税が2割加算されるのか

配偶者の相続税が大幅に軽減される一方で、相続財産を取得した者が被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者である場合は、相続税の計算においていわゆる2割加算されます。

なぜでしょうか。

これは、孫に遺贈があると相続を1回飛ばせることや、財産を偶然的に取得する者の税負担を重くした措置です。遺言書を使えば、たとえ家族ではなくても一定の遺産を取得させることは可能ですが、相続税が割高になるリスクがある点については理解しておく必要があります。

できれば事前に税理士に相談することをオススメします。

なぜ節税対策よりも納税資金対策?

相続税対策というと節税節税を考える人が多いのですが実は節税よりも重要なのが納税資金対策です。

一定のご家庭については、いくら節税対策をしたとしても一定の相続税が課税されます。その際に、相続財産が不動産や株式ばかりだと、納税資金を相続人自身が現金で準備しなければなりません。

相続税は相続財産が増えれば増えるほど高額になるので、相続が発生した際に一括で納税できるだけの現金を準備しておくことがとても大切なのです。

なぜ生命保険を勧めるのか

納税資金対策には生命保険を活用することがオススメです。

相続税には500万円×法定相続人の人数分の非課税枠があるので、一定額までは相続税がかかりません。保険料を被相続人が負担すればそれ自体も生前贈与になるのでオススメです。

 

まとめ

なぜ相続税がかかるのかという疑問は誰しもが一度は抱くことですが、実は社会にとって重要な仕組みなのです。なぜ課税されるのかという理由を知ることで、対策の重要性についても再認識させられますね。