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遺言で土地を相続させるなら遺留分に注意!

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遺言で土地を相続させるメリット

・遺産分割時のもめごとを防ぐことができる

相続財産が土地など不動産に偏っている場合、相続人が複数いれば、遺産分割の際に、誰が土地を相続するかでもめてしまうことがあります。

土地を相続人の共有にすれば、共有者全員の合意がなければ、売却等して処分することもできないことになり、土地活用が困難になってしまいます。土地を相続する人を遺言で決めておけば、相続人同士が遺産分割でもめることがなくなり、スムーズに相続が行われます。

・先祖代々受け継いだ土地を守ることができる

先祖代々受け継いだ土地がある場合、遺言を書いて土地を譲る人を決めておいた方がよい場合があります。

たとえば、相続人が配偶者のみである場合には、自分が持っていた土地は配偶者が相続することになりますが、その配偶者が亡くなれば、配偶者側の親族が土地を相続することになってしまいます。

遺言を書いて土地を自分側の親族に譲る旨を指定しておけば、受け継いだ土地がよその家に渡ってしまうのを防ぐことができます。

 

遺言で土地を相続させるなら遺留分に注意

・遺留分とは何か

遺留分とは、法律上の相続人(法定相続人)の一部の人に認められている最低限の取り分になります。相続では、遺言がある場合には、遺言に優先的に従う形で財産の分配方法が決まります。

遺留分は、遺言に従った結果、本来なら財産を相続できたはずの相続人の取り分がなくなってしまわないようにするため、設けられているものです。

・遺留分がある人

法定相続人になる可能性があるのは、亡くなった人の配偶者、子や孫、父母や祖父母、兄弟姉妹や甥姪になります。このうち、兄弟姉妹や甥姪には遺留分は認められていません。

配偶者、子や孫、父母や祖父母が法定相続人となる場合には、これらの人には遺留分があることになります。遺留分がある相続人のことを遺留分権利者といいます。

・遺言を書くときに遺留分権利者を確認

遺言で相続人のうちの1人に土地を相続させる場合には、他に遺留分権利者がいないかどうかを確認する必要があります。

遺留分権利者は、自分の遺留分を他の人に相続されてしまった場合、「遺留分を返してほしい」という請求(遺留分減殺請求)をすることができます。

せっかく遺言を書いても、遺留分減殺請求をされれば、希望どおりの結果にならない可能性があることに注意しておく必要があります。

・遺留分減殺請求されたらどうなる?

たとえば、相続人が自分の子である長男、次男の2人の場合、どちらも4分の1の遺留分をもつことになります。

次男の遺留分に配慮せず、長男に土地を相続させる遺言を書いた場合、次男が遺留分減殺請求をすれば、長男は遺留分に相当する部分を次男に返還しなければなりません。

土地そのものを分けたり、共有にしたりするのが困難であれば、遺留分を金銭に見積もって返還する必要があります。長男の手元に現金がなければ、遺留分が返還できず、もめごとになってしまう可能性も考えられます。

 

遺留分に配慮して土地を相続させる方法

・遺留分権利者にも遺留分を相続させる遺言を書く

相続人が長男、次男2人のケースで、土地を含めた全財産を長男に相続させる遺言を書いた場合には、次男が相続するものがなくなってしまいます。次男が遺留分減殺請求をすれば、長男との間で紛争が起こることもあります。

そこで、長男には土地を相続させ、次男にも遺留分相当の別の財産を相続させる旨を遺言に書いておけば、次男に遺留分減殺請求されることはなく、兄弟間の紛争を予防できます。

・遺留分権利者に遺留分を放棄させる

遺言で土地を特定の相続人に相続させたい場合、他の遺留分権利者に、遺留分を放棄させるという方法もあります。

遺留分権利者は、相続開始前に家庭裁判所の許可を受け、遺留分を放棄することができます。遺留分放棄をすれば、遺言により遺留分を侵害する相続が行われた場合でも、遺留分減殺請求ができなくなります。

・遺留分放棄させる際の注意点

遺留分放棄は、あくまでも本人が自分の意思で申し立てる必要があります。また、遺留分放棄を申立てても、家庭裁判所に必ず許可されるとは限りません。

遺留分放棄が許可されるには、放棄する本人が何らかの見返りを受けていることなどの要件があります。遺留分権利者に土地を相続させたくない場合でも、他の財産を渡すなどしなければ、遺留分放棄をさせるのは難しいことになります。