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相続登記が未登記の土地は、なぜ問題になるの?

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土地の「未登記」はなぜ起こる?

未登記とは、登記がされていない状態です。これまで一度も登記がされていない土地というのは珍しい存在ですが、建物についてはそうではないようです。

土地の相続で言うところの未登記とは、先代または先々代、場合によってはそれ以上前の先祖から相続登記をしていない状態の土地を指して使う言葉です。

相続登記とは、土地の名義を相続人の名義に書き換える手続きであり、非常に重要な手続きですが、現在に至るまで義務化はされていません。

明治32年に「不動産登記法」が制定されるまでは相続登記の必要性はなかったため、この時代の先祖が土地を未登記にしていても仕方ありません。

その後の世代が、手続きが面倒なこと、義務ではないこと、登録免許税がかかることなどを嫌って、土地を未登記のままで放置したために、現在になって困る相続人がたくさん現れているのでしょう。

ある土地では、長年相続登記の未登記が続いたことで、わずか60坪程度の土地に100人を超える相続人が関係するような事態も生じています。ここまで来ると、誰が土地を相続するのかという次元の問題ではなくなってしまいます。

 

未登記の土地が抱えるリスク

「自分の先祖がずっと所有してきた土地なのだから未登記でも実害はない」という考えが広く定着していたことも、土地の未登記が増えた一因です。

しかし時代は進みました。今では、個人が自己の権利を法的に証明することの重要性は一昔前に比べて増していると言えます。土地を未登記のままにすることがなぜ問題なのか、3つのリスクを考えましょう。

誰にも権利を主張できない

土地が未登記であるということは、土地の権利者がいないことを意味します。つまり、赤の他人が突然現れて「ここは自分の土地だ」と主張したとしても、まともに言い返すことすらできません。

時代が進むにつれ、一昔前では考えられなかったような方法で詐欺を働こうとする人も現れるようになりました。未登記で、法的権利が明確でない土地は、それをいいことに詐欺師や悪徳不動産業者に狙われてしまうリスクもあります。

利用価値が無い

自分がその土地に住む場合ではない限り、その土地が何らかの生産性を持っていてくれなければ、所有する意味がほとんどありません。

そこで、ある人は、土地を他人に貸して賃料収入を得るか、売却して売却益を得るかのいずれかを検討することでしょう。

しかし、未登記のままの土地は、人に貸すことも、売ることもできません。未登記の段階では、土地を相続することに決まっている相続人も、ただの部外者です。

所有者不明による社会的問題

土地の未登記問題は、東日本大震災で顕著に表れたと言われています。復興のための再開発が、未登記の土地のせいでスムーズに進まないことが理由です。

土地が未登記だと、その土地についての交渉をする相手が不在になります。行政機関も、所有者が不在だからと言って、土地を勝手に使用することはできませんから、数少ない手がかりをたどって、相続人を突き止め、交渉するしかなくなります。

相続人の手がかりはたいてい少ないもので、しかも相続人は、一人ではないことがほとんどです。地道に調査しなければならない土地がたくさんあるので、人手がいくらあっても足りないことでしょう。

土地を未登記のままにしておくことは、都市計画や災害時の復興の妨げにもなってしまいます。

 

未登記の土地を相続登記する際の免税について

増え続ける未登記の土地や建物に歯止めをかけるべく、2018年4月1日から2021年3月31までに行われる相続登記については、登録免許税の免税措置が設けられています。

対象となるのは、相続登記をしないまま亡くなった人の相続人で、相続登記を2回行う必要のある人です。相続登記が2回になると、登録免許税も2回払わなければなりませんが、この免税措置によって1回分は無料となります。

ただし、相続登記が何世代も前から滞っているような場合は、相続人の手に負える状況ではありません。司法書士や行政書士へ手続きを依頼しましょう。条件によっては、最後に登記した人から現在の権利者までの間を省略して相続登記ができる可能性があります。

 

まとめ

土地の未登記は、先祖から譲り受けた土地を粗末にし、自分の権利をないがしろにする行為です。それだけでなく、自分の子孫や社会にも多大な迷惑をかけることになります。未登記のままにすることにメリットはありませんから、責任を持って相続登記を終えましょう。