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土地の相続に備えて遺言書を作成しよう

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「自筆証書遺言」で遺言書を作成する

土地を相続させる人が自分の直筆で作成する遺言書が、自筆証書遺言です。自筆証書遺言の作成方法は、民法第968条第1項に定められています。

民法第968条第1項
「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに印を押さなければならない」

土地の相続について遺言する人が、遺言書のすべての文章、作成した日付、自分の氏名を手書きで記入し、押印しなければならないという規定です。自筆証書遺言は一番手軽に作成できるため、人気があります。

しかし司法書士などの専門家に言わせると、相続開始後に発見される8割から9割の自筆証書遺言には、何かしらの問題点があり、遺言書としてまったく無効なものも珍しくないとのことです。

よくあるミスには、遺言書の本文をパソコンで印字してしまい、日付や署名だけが自筆というものがあります。また、夫婦で共同の遺言書を作成してしまうこともありがちです。日付の記入がないもの、押印がないもの、さらには署名すらない遺言書も出てくることがあります。

せっかく遺言書を作成しても、いざ相続が開始した後に無効であることが分かったのでは無意味です。土地を相続する家族のためにも、遺言書の準備には万全を期したいものです。自筆証書遺言を作成する際は、専門家の指導のもとで行うことをお勧めします。

 

「公正証書遺言」で遺言書を作成する

自筆証書遺言のデメリットをカバーできる遺言書が、公証役場で作成する公正証書遺言です。

公正証書遺言の作成方法は、民法第969条に定められています。民法第969条の条文は長いので省略しますが、公正証書遺言の作成方法は以下の通りです。

土地の相続について遺言する人が、2人以上の証人の立ち合いのもと、遺言の内容を公証人に口述し、公証人がそれを遺言書として書面にします。

その後、遺言する人と証人が書面の内容を確認して署名押印します。さらに公証人も署名押印することで、公正証書遺言が完成することになります。

公証人が繰り返し遺言書の内容を確認しつつ書面を作成してくれますから、自筆証書遺言のように、ちょっとしたミスで遺言書が無効になるリスクがありません。

さらに、公正証書遺言で作成した遺言書は公証役場で保管されます。

自宅に保管することの多い自筆証書遺言は、相続開始後に発見してもらえなかったり、悪意のある相続人に破棄されてしまったりするリスクがありますが、公正証書遺言ならその心配はありません。

また、自筆証書遺言で必要になる「検認」も不要なので、相続手続きにかかる時間が短縮され、土地の相続登記や預貯金の名義変更などがスムーズに進みます。

 

土地について遺言書に記載する場合のポイント

自分が指定する相続人に、遺言書を通して確実に土地を相続させるためには、抑えておくべきポイントがあります。

ひとつには、遺言書内で記載する土地の情報は、必ず登記事項証明書の通りにすることです。一字一句に至るまで、相違ないように記載する必要があります。少しでも間違えた記載があると、最悪の場合土地の相続登記ができなくなってしまいます。

さらに、相続させる土地を複数個所有しているなら、土地の記載漏れを起こさないために名寄帳を確認しましょう。遺言書を作成する人自身、親から複数の土地を相続していると、自分でも所有していることを忘れていたような土地が見つかることもあります。

遺言書に記載し忘れた土地は、相続登記が不可になる可能性があります。漏れのないようにしましょう。なお、将来土地を売ってしまうかもしれないから遺言書には記載しないでおこう、と考える必要はありません。

土地について記載した遺言書を作成した後に、その土地を売却するとしても、遺言書に記載済みの部分は撤回されたものとみなされます。すでに売却された土地が記載されているからと言って、その遺言書が無効になることはありません。

遺言書に、土地について記載しないまま遺言者が亡くなってしまうことは、土地を巡る相続トラブルの引き金となり得ます。売却するかもしれない土地についても、しっかりと記載しておきましょう。

 

まとめ

裁判に発展する相続の多くは、有効な遺言書さえあれば、そこまで争うこともなかったであろうものです。

遺言書は、自分の死後に財産をコントロールするだけでなく、相続人となる家族が争うことのないよう守るための手段です。土地を相続させるのであれば、一日も早く遺言書を作成しておきましょう。