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マンションの相続で確定申告が必要になるケースとは?

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相続したマンションの売却益がある場合の確定申告

相続したマンションを売却して利益が出た場合には、確定申告することで所得税と住民税が課税されます。不動産を売却した利益は「譲渡所得」と呼ばれる所得です。

譲渡所得が出たかどうかは、次の式を用いて計算しましょう。

譲渡所得 = 売却代金 - (取得費+譲渡費用) - 特別控除

譲渡所得は分離課税であり、他の所得と合算されることはありません。そのため、確定申告で税額を決定する手続きが必要になります。なお、相続したマンションを売却して損失が出た場合、確定申告は必要ありません。

 

相続したマンションから家賃収入がある場合の確定申告

相続したマンションが賃貸物件だった場合には、相続人のもとへ毎月家賃が入ってくることでしょう。家賃は「不動産所得」と呼ばれる所得で、やはり確定申告が必要です。

確定申告では、1年間の総収入から賃貸経営の必要経費を差し引いて所得を計算します。

確定申告で収入に含められるのは、家賃や礼金、更新料などです。確定申告で必要経費に含められるのは、相続したマンションの不動産取得税や固定資産税、損害保険料、修繕費、減価償却費などとなります。

よく、確定申告に個人的支出を混同した必要経費を申告してしまうケースが見られますので注意しましょう。

不動産所得以外の所得がある場合は、確定申告によって、相続したマンションの不動産所得が赤字だった年に、損益通算することもできます。

サラリーマンの給与所得などとの損益通算が行われると、すでに源泉徴収された税金が還付されるとともに、住民税も節税できるため、覚えておきましょう。

 

相続したマンションに特例を適用させるための確定申告

マンションを相続した場合、確定申告によって以下のような特例制度を適用できる可能性があります。

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
・マイホームを売ったときの軽減税率の特例
・相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

ひとつずつ解説します。

1.住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

マイホームを売却した時に、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できるという特例です。この特例をマンションに適用するためのおもな要件は、以下の通りです。

・自分が住んでいる家屋を売却すること
・売った年から2年以内にこの特例、またはマイホーム関係の他の特例の適用を受けていないこと
・売り手と買い手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

相続したマンションに適用する上で注意したいのは、「自分が住んでいる家屋」という点です。親と同居していたなどの理由で、相続前からそのマンションに住んでいた場合は問題ありません。

ただ、相続してから住み始めたため、確定申告の時点での入居期間が短い場合、特例の適用のために一時的に住んでいるとみなされる可能性もあります。

確定申告で特例の申請をする際は、譲渡所得の内訳書を添付して申告しましょう。マンションの売買契約日前日の時点で、マンションを売った相続人の住所がマンションの住所と異なる場合には、確定申告で戸籍の附票などを添付する必要もあります。

そのマンションに本当に住んでいたことが分かる書類であれば、戸籍以外の書類でも可能です。

2.マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホームを売却し、一定要件に当てはまる場合には、譲渡所得の税率が軽減されるという特例です。主な要件を以下にご紹介します。

・日本国内にある、自分が住んでいる家屋を売ること
・売った年の1月1日において、売った家屋の所有期間が10年を超えていること
・売った家屋について、マイホームの買換えや交換の特例など、他の特例を受けていないこと(マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例は併用可能)
・親子や夫婦など、特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

確定申告の際には、譲渡所得の内訳書と、売ったマンションの登記事項証明書を添付します。

3.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続により取得した土地や建物などを一定期間内に売却した際に、相続税額のうちの一定金額を取得費として加算できるというものです。主な要件は、次のようになります。

・相続や遺贈によって財産を取得したこと
・その財産を相続した人に相続税が課税されていること
・相続開始の翌日から3年10か月の間に売却していること

確定申告時には、相続税の申告書の写し、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、譲渡所得の内訳書を添付します。

 

まとめ

相続人自らが相続したマンションに住むのでない場合は、確定申告で所得を申告したり、税額特例を申請したりする必要があります。

所得があるのに確定申告を期限内に完了しなかった場合、無申告として延滞税を加算されることもあるため注意しなければなりません。確定申告は、必ず期限内に行いましょう。