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生前贈与に期間の決まりはある?

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生前贈与とは

生前贈与は、財産を持つ人が生前に自分の財産を他人へ贈ることを指します。遺産相続が始まれば財産は相続人のものとなりますが、相続税がかかります。

そのため、相続人が支払うことになる相続税の負担を軽減することをおもな目的として、生前贈与が行われます。

しかし、相続税を払いたくないからということで生前贈与を乱用されては、相続税の存在意義がありません。そのようなわけで生前贈与にも課税が無いわけではなく、贈与税という税がかかります。

ただし、贈与税には特例や基礎控除などがあるため、それらを活用することで遺産相続時の相続税よりも税負担が軽くなる場合が少なくありません。

 

生前贈与に関する期間の決まりとは

生前贈与には、「いつから始めなければならない」または「いつまでに終えていなければならない」という意味での期間の決まりはありません。何歳の人でも始められますし、何歳まで続けても個人の自由です。

ただし、生前贈与を行うにあたっては、生前贈与を行うタイミング、死亡時から一定期間以内の生前贈与かどうかなど、ある特定の期間が重要なカギとなるケースがあります。

 

期間に注意が必要な生前贈与のケース

特定の期間を念頭に置くべき生前贈与には、次の3つのケースがあります。

1.配偶者への自宅の生前贈与

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を購入するための資金を生前贈与した際に、贈与税の基礎控除額110万円とは別に最大2,000万円までの控除を適用する、という特例です。

つまり最大で、2,110万円分を配偶者に非課税で生前贈与できるということです。婚姻期間が20年以上という規定の他にも、次の要件を満たしている必要があります。

・生前贈与される財産が、受贈者が住むための国内にある居住用不動産であること、または国内の居住用不動産を購入するための資金であること

・生前贈与を受けた年の翌年3月15日までに、生前贈与によって取得した国内の居住用不動産、または生前贈与によって取得した資金で購入した国内の居住用不動産に実際に住んでおり、その後も継続して住む見込みがあること

配偶者への自宅の生前贈与には、婚姻期間が20年以上である必要があり、また生前贈与の翌年の3月15日までに入居していなければならないという2つの面での期間の定めがあります。

2.暦年課税を利用した生前贈与

贈与税には110万円という基礎控除があります。これは受贈者1人当たり年間で考えた場合の額なので、一人の相手へ年に110万円以下の生前贈与を行った場合は、贈与税がかからないことになります。

しかし、税務署に計画性を指摘されてしまうと、通常通りの贈与税を課されてしまう可能性があります。

例えば、毎年同じ月日に110万円を贈っていたとします。それを10年続けると1,100万円の生前贈与を非課税で行えるわけですが、税務署からすれば「最初から1,100万円を贈るつもりだったのに、贈与税の課税を免れるために、基礎控除の枠内に収めて分割払いしたのでは?」とみなされる可能性が高いです。

工夫して生前贈与したとしても、税務署に認められなければ意味がありません。暦年課税を利用する場合は、毎年生前贈与する月日を変えること、生前贈与で贈る財産の種類にバリエーションを持たせるなどして、計画性を疑われないように注意する必要があります。

さらに、贈与者の死亡から3年以内の期間に行った生前贈与は、相続財産とみなされるというポイントもあります。

ですから死期が迫ってからではなく、まだ健康なうちにスタートすることが大切です。

3.相続時精算課税制度を利用した生前贈与

生前贈与した分の財産について、遺産相続開始時に相続財産に含めるという方法です。相続税の計算に用いられる時価は贈与時のものなので、将来的に価値が向上しそうな株式などを贈与する際によく用いられます。

期間に関する決まりは特にありませんが、贈与した財産の価値を高めるには、ある程度の期間を置く必要がある場合もあります。遺産相続時に十分価値を向上させておくには、やはり早めの生前贈与が必要です。

 

まとめ

生前贈与をしても、特定の期間内のものは相続財産と見なされることがあります。また、特定の期間に関する条件を満たしていないと生前贈与が認められないこともあります。

余命に不安を感じてからの生前贈与では遅い場合があります。遺産が多いなら、早めの生前贈与を心がけましょう。