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遺産相続における養子の相続分や権利について

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養子とは

養子と言ってもその分類には2種類があります。「普通養子縁組」と「特別養子縁組」です。

普通養子縁組では、実の両親との親子関係も維持しつつ、新しい養父母とも親子関係を結ぶものです。家の名字を絶やさないために、もしくは家業を継続させるために行われることが多い養子縁組です。

具体例としては、事業を継承してもらう人を自分の家系に加えるために養子縁組したり、婿養子など子どもの配偶者を迎える際に養子縁組したりなど、この普通養子縁組の典型的な例と言えます。

一方、特別養子縁組では、実の両親との親子関係を法的にも断ち切り、完全な意味で養父母の子どもとなります。実の両親が育児放棄していたり、子育てが不可能なほど若かったりしたなどの場合に選択される養子縁組です。

特別養子縁組ができる子どもの年齢は6歳までという規定もあり、普通養子縁組と比較すると厳格な基準が設けられています。ただし、子供が6歳に達する前から養親となる方に監護されていた場合には、8歳になる前までは、審判を請求することができます。

 

遺産相続での養子の相続分や権利は、実子とほぼ変わらない

では、普通養子および特別養子である子どもが遺産相続に直面した場合は、実の子どもでないことがどの程度干渉するのでしょうか。

実際のところ、遺産相続において養子と実の子どもの間には、ほとんど差は生まれません。ただし、遺産相続における相続税の基礎控除の計算で、法定相続人として数えることのできる養子の数には、制限があります。

・養父母に実の子どもがいる場合は1人まで
・実の子どもがいない場合でも2人まで

上記の制限内でなければ、相続税の基礎控除の計算に含めることができません。

相続税法第15条「遺産に係る基礎控除」
第2項:前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数)とする。

1.当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合、一人

2.当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合、二人

ですから、養父母に実の子どもがいて、さらに養子が複数人いるような場合では、遺産総額の際に基礎控除にカウントできないケースが出てきます。

遺産相続で法定相続人になれる養子の制限は、遺産相続の時に相続税の基礎控除額を増やしたいがために、養子縁組制度が乱用されることのないように定められた法令です。

遺産相続では、養子も実の子どもと同様の相続分を得られますし、同様の権利を有しており、遺留分減殺請求権も持っています。養子だからといって遺産相続の際に相続人から外したり、相続分を少なくしたりすることはできません。

 

養子の子どもは、遺産相続で代襲相続人になれない場合がある

遺産相続で養子であることによって権利が限られる可能性があるのが、代襲相続です。

代襲相続とは、被相続人の子どもや兄弟姉妹など、遺産相続で法定相続人となる人が被相続人の死亡前に死亡していた場合、死亡した相続人の子どもが代わりに遺産相続する法定相続人となることです。代わりに相続人となる人は、代襲相続人と呼ばれます。

もし養子である子どもが養父母より先に死亡してしまった場合、養父母から見て孫の世代にあたる養子の子どもは遺産相続で代襲相続人となることができない場合があります。

ポイントとなるのは、養子の子どもが生まれたタイミングです。民法では、遺産相続で被相続人の子どもの代襲相続人となる人について、被相続人の直系卑属でなければならないと定めています。

もし、すでに子どもを持つ人が養子となった場合、養子縁組前に生まれているその子どもは養父母の直系卑属にはならないため、遺産相続で代襲相続人にはなれません。

対して、養子縁組をした後に生まれた養子の子どもであれば養父母の直系卑属となるため、遺産相続で代襲相続人となることができます。

生まれたタイミングについてのこの規定は、兄弟姉妹が遺産相続で代襲相続人を立てる場合にも同様に当てはまります。

 

まとめ

遺産相続では、養子であっても実の子どもと差別されることなく相続ができます。もし、遺産相続で相続税を節税するために養子縁組を考える場合は、メリットとデメリットを慎重に考慮して行いましょう。