相続メディア nexy

相続メディア nexy

相続税に関係して利用できる控除制度とは

更新日:

配偶者控除

相続税における控除としてよく知られているのが、配偶者控除です。被相続人の配偶者は、法定相続分または1億6,000万円の、いずれか金額が大きい方について相続税を控除されます。

適用するための条件は、相続税の申告期限内に遺産分割を終えていること、および相続税の申告を済ませていることです。法的な婚姻関係にある配偶者であることも条件となります。

相続税対策の代表とも言われる配偶者控除ですが、二次相続(相次相続)に配慮することも重要です。

今回の相続では、配偶者控除によって相続税を非課税にできても、当の配偶者が死亡し、次の相続が発生するまでの期間はそれほど長くないかもしれません。

相続した財産がそれほど減っていないうちに、次の相続が発生し、今度は子どもが相続人となる場合、配偶者控除のような巨額の相続税控除は利用できないでしょう。

配偶者控除に頼り過ぎてしまうと、子どもの相続税負担が高額になってしまう可能性があるのです。

 

未成年者控除

相続人の中に、相続開始時の年齢が20歳未満の人がいる場合は、未成年者控除を利用できる場合があります。この控除は、未成年者の相続人が成人するまでの年数を基準とした控除です。

相続税の控除額は以下のように計算します。

「20歳になるまでの年数×10万円」

仮に、10歳の子どもが相続人となったとすると、控除額は100万円です。この控除額が相続財産総額よりも大きくなるようなケースでは、他の相続人に控除額を割り振ることも可能になります。

 

障害者控除

相続開始時に85歳未満で、障害を持っている相続人に適用される控除です。相続税控除額の計算方法は、未成年者控除と同様で、以下のようになります。

「85歳になるまでの年数×10万円」

相続税額以上の控除額になる場合、他の相続人に控除額を割り振ることが可能な点も、未成年者控除と同様です。なお、特別障害者の場合は控除額が倍になります。

 

暦年課税分の贈与税額控除

被相続人が、亡くなる前の3年以内に生前贈与をしている場合もあるでしょう。相続税の計算では、相続開始前3年以内の贈与は相続財産の一部として数えられます。

しかし、贈与税は贈与のあった年ごとに発生しているため、すでに贈与税を納税済みの財産に対して再び相続税がかかってしまうことも考えられるのです。

相続開始前3年以内の贈与で贈与税を課税されている場合には、贈与税額控除を利用することにより、相続税から贈与税額分が控除されます。相続税と贈与税では、税率が微妙に異なりますので、節税対策を検討する際には注意しましょう。

 

相次相続控除

贈与税額控除と同様、二重納税を防ぐ目的で備えられているのが、相次相続控除です。相続開始前10年以内に、被相続人が相続などによって財産を取得している場合に適用できます。

一例として、祖父が亡くなってから8年後、祖父の遺産を相続した父親が亡くなり、今回は息子が父親の遺産を相続するというケースもあることでしょう。

10年という短い間に相続が相次いでしまうと、まったく同じ財産に対して2回課税されてしまうことにもなりかねません。

相次相続控除を利用することで、今回の相続人の税額からは「1年につき10%の割合で逓減(ていげん)した後の金額」が控除されることになります。

 

外国税額控除

海外にある財産を相続する場合は、外国税額控除も適用できるでしょう。海外の財産については、財産を所在する国に対して相続税を納めることになります。

その上で、日本でも相続税を納めると二重納税となってしまうため、海外で納税済みの税額は日本での納税の際に控除されるのです。

 

相続時精算課税分の贈与税額控除

こちらは、相続税の控除というよりは、相続税額の精算を目的とした制度です。相続時精算課税制度を利用して行われた贈与について、贈与税が課税されていた場合に、その贈与税額が控除されます。

贈与税を控除した結果、相続税の納税額がマイナスとなった場合には、マイナス分の金額は還付されるのもポイントです。

 

医療法人持分税額控除

比較的珍しい控除に、医療法人持分税額控除があります。医療法人の持分を相続した相続人が、相続税の申告期限までに持分の全部または一部を放棄した場合には、放棄した持分に相当する相続税額が控除されるというものです。

 

まとめ

被相続人の配偶者や子どもなど、被相続人との関係が近い人や、社会的弱者である障害者、若年者に対しては、手厚い相続税の控除制度が用意されています。逆に、成人後は生活を別にすることの多い兄弟姉妹が利用できる控除制度は少ないと言