相続税 2020.10.12

初心者でも相続申告はできる!相続税チェックシートの活用法

相続税申告は通常の確定申告とは違い、申告する内容が多岐にわたり複雑になるため一般の方が申告するのはとても大変です。
税理士に委託する人も多い相続税申告ですが、できれば自分自身でやりたいという人も多いと思います。
そこで本記事では、初心者でも相続税申告ができるようになる相続税チェックシートの活用法について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

相続税チェックシートとは

相続税申告はいきなり税額を計算できるほど単純ではありません。まずは相続の基本的な手続きを確認してからでなければ、正しい相続税を計算できないのです。

そこで活用をおすすめしたいのが相続税チェックシートです。

相続税チェックシートとは、相続税申告の際に必要になる添付書類のチェックシートで、国税庁のホームページから誰でもダウンロードできます。

ケースに応じた添付書類がわかる

遺産相続には財産を取得するいくつかのパターンがあり、パターンに応じた添付書類が必要になります。これについても相続税チェックシートを見れば、次のような添付書類が必要であることがわかります。

・遺言書がある場合:家庭裁判所の検認を受けた遺言書又は公正証書遺言
・遺産分割協議をした場合:遺産分割協議書、各相続人の印鑑証明書
・死因贈与があった場合:遺言書や贈与契約証書
・相続人に未成年者がいる場合:特別代理人選任の審判の証明書

このようにパターンに応じた添付書類がわかります。ただ、活用できるのはそれだけではありません。相続税チェックシートを相続開始時に確認すれば、上記の情報から次のようなアクションを起こせるようになります。

・遺言書の有無を確認する
・公正証書以外の遺言書は家庭裁判所での検認が必要
・遺産分割協議書を作成する(弁護士などに依頼)
・相続人全員に印鑑証明書を取得するよう伝える
・未成年者が相続人の場合、親が家庭裁判所で特別代理人を選任しなければならない

このように、一般の方では気が付かない相続に関連する手続きについて、相続税チェックシートの添付書類の解説等から知ることができるのです。

 

相続税チェックシートで財産に応じた添付書類がわかる

相続税は経済的な価値があるものであれば、基本的にすべてが課税対象になると考えた方が無難です。例えば、生命保険金や死亡退職金についても、遺産分割の対象にはならないものの、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

債務控除もわかる

相続税チェックシートでチェックできるのは、プラスの財産の添付書類だけではありません。

借金などの債務や葬式費用についても相続税チェックシートに項目があり、領収書や請求書等の添付書類が必要であることがわかるので、きちんとチェックすれば過大に申告する恐れがなくなります。

 

令和2年相続税チェックシート書き方のポイント

相続税チェックシートは基本的に該当する部分にレ点でチェックを入れるだけなので、書き方自体はそんなに難しくありません。ただ、1点だけ厄介な書面があります。

それは相続関係図です。

相続関係図とは、誰が相続人であるか他人が見てもわかるようにするために作成する関係図のことで、簡単に言うと家系図のようなものです。

ひな形は国税庁のホームページからダウンロードできますが、書き方についていくつかポイントがあります。

【相続関係図:書き方のポイント】

・年齢は相続開始日現在の年齢を記入する

・職業はできる限り具体的に書く

・すでに亡くなられている人を記載する場合は、亡くなられた年月日も氏名の上に記載する

・親子、兄弟姉妹の関係は点線ではなく実線で引く

・被相続人の経歴を記載する

 

小規模宅地等の特例を適用する場合

相続税チェックシートを活用することで、各種控除制度をスムーズに適用することができます。

例えば自宅を相続するようなケースで適用できる可能性がある小規模宅地等の特例については、相続税チェックシート上にフローチャートが記載されているので、それに沿ってみていけば自分自身が小規模宅地等の特例の対象者なのかすぐにわかるのです。

小規模宅地等の特例を適用できれば、相続税を大幅に節税できますので該当する場合は必ず適用しましょう。

 

まとめ

相続税チェックシートは誰でも使えて、なおかつ、書面添付の確認用というだけではなく、相続の基本的な流れを把握するうえでも非常に助かる資料です。

これから相続手続きを始めるという方は、ぜひ国税庁のホームページから相続税チェックシートをダウンロードして使ってみてください。

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