相続税 2021.11.24

自筆証書遺言の保管制度ってどうなの?

2020年7月10日より「自筆証書遺言保管制度」が施行されました。
自筆の遺言書である自筆証書遺言を、法務局で保管してくれることになったのです。
この自筆証書遺言保管制度のスタートにより、実際どのような変化があったのかや、制度のメリットやデメリット、手続き方法などを詳しくみていきたいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

自筆証書遺言の保管制度とは

自分で書く遺言を自筆証書遺言といい、自筆証書遺言は、証人もいらず、いつでもどこでも自分一人で書く事が出来る手軽さがあった半面、自宅で保管されることが多く、改ざんのおそれや、遺言書を見つけてもらえない等のリスクがありました。

このような背景から、法務局で自筆証書遺言を保管できる制度が施行されたのです。

法務局は、自筆証書遺言の原本とそれを画像データ化したものを保管し、長期間適正に管理します。(原本は遺言者死亡後50年間、画像データは150年間)

相続人の誰かが法務局で自筆証書遺言を閲覧した際にも、その他全員の相続人に遺言書が法務局に保管されている旨の通知が届きます。

自筆遺言保管制度は強制ではなく、利用するのもしないのも作成者の自由であり、これまで通り自宅などで保管しても構いません。

 

自筆証書遺言保管制度のメリット

・紛失する可能性や発見されないリスクがなくなる

自筆証書遺言は、これまでは自宅で保管されることが多かったので、作成者がどこにしまったのか忘れてしまったり、亡くなる前に発見されないように自宅内の様々な場所に保管場所を移している間に紛失してしまったりするケースがありました。

また、自筆証書遺言を作成したことを誰にも言わない方も珍しくありません。

そういった経緯で、遺言書を紛失してしまう、相続人は遺言書があることを知らないので発見されないというデメリットがありましたが、自筆証書遺言保管制度を利用し、法務局に保管してもらえば、これらのデメリットは解消されます。

・改ざんの心配がない

自筆証書遺言は、手軽に作成できるメリットがある半面、改ざんの恐れがあります。

遺言書を発見した人物が、作成者に知られないよう勝手に内容を書き換えたり、時には捨ててしまったりということも少なくないです。

しかし、法務局に保管しておけば、改ざんや破棄の心配は不要となるでしょう。

・家庭裁判所での検認が不要となる

自筆証書遺言は、作成者の死後、発見者が家庭裁判所に提出して検認を受ける必要がありますが、自筆証書遺言保管制度を利用した場合はこの検認が不要となり、手続きの手間が省けます。

 

自筆証書遺言保管制度のデメリット

自筆遺言保管制度を利用しても、法務局は遺言書を保管してくれるだけで、内容についてまでは確認したり、アドバイスしたりはしてくれません。

財産の記載漏れがないかや、遺言書の内容が有効かどうかなどは、自分で判断するしかないのです。

また、自筆証書遺言保管制度を利用する場合は、用紙のサイズはA4、最低限の余白が必要(上部5㎜、下部10㎜、左20㎜、右5㎜)、片面のみに記載など、細かい規定があり、正確な形式にのっとって書くのは大変な作業になります。

上記の理由から、自筆証書遺言作成時は、事前に弁護士に相談することをお勧めします。

ただし、法務局は内容については確認してくれませんが、形式については目を通し、間違いがあった場合は指摘してくれるので形式不備を回避でき、その点は安心ですしメリットといえるでしょう。

 

自筆証書遺言保管制度を利用する流れ

1.申請する法務局を決定する

自筆証書遺言を作成したら、どこの法務局に申請するかを決めます。

・自身の住所地を管轄する遺言書保管所

・自身の本籍地を管轄する遺言書保管所

・自身が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所

この中から選択します。

申請をするためには、予約をしなければなりません。

法務局ホームページの手続き案内予約サービスから、または選択した遺言書保管所へ電話して予約しましょう。

予約日が決まったら、それまでに法務局のホームページからダウンロード出来る保管申請書 を作成しておきます。(窓口でももらえます)

2.法務局に出向き、手続きを行う

当日は、必ず遺言者本人が法務局の保管所に出向いて手続きをしなければなりません。

その際、以下の書類が必要となるので準備しておきましょう。

・遺言書
・保管申請書
・住民票の写し等
・顔写真付きの身分証明書 (官公署が発行したもので運転免許証やマイナンバーカード等)
・手数料(遺言書1通につき3,900円)

3.手続き終了後、「保管証」発行

手続き終了後は「保管証」が発行されます。

保管証には保管した遺言書を特定するための 保管番号など、重要な情報が記載されており、無くしても再発行されないので紛失しないようにしましょう。

 

まとめ

自筆証書遺言の保管制度が施行され、法務省が遺言を保管してくれることで、これまでは自宅で保管することが多かったゆえの、改ざん、紛失などの自筆証書遺言の欠点が解消されました。

安価な手数料で保管してもらえるのは大きなメリットですので、遺言について考えたときに、自筆証書遺言保管制度を利用するのも選択肢の一つなのではないでしょうか。

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