土地・不動産 2018.07.02

土地を相続した時の評価方法を紹介

相続財産として土地を相続する場合、その土地が利用価値の高いものであれば、相続人にとっては貴重な財産となります。土地を相続した相続人には、土地の評価額に応じた相続税を支払う義務も発生します。

土地の評価は、国税局などが定める一定の方法に基づいて行われますが、一般の人でも評価方法を理解すれば、評価額を試算することができます。この記事では、土地を相続した時の「評価方法」について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

土地を相続する際の相続税の計算方法

土地の相続税評価額は、土地の用途や種別によって変わります。ここからは、土地の種類別に評価方法をご紹介します。

1.宅地(自用地)
2.借地権
3.貸宅地
4.農地
5.山林

上記の5種類の土地について、ひとつずつ詳しくお伝えしていきましょう。

1.宅地(自用地)

相続される土地の中でも最も一般的な土地が、宅地です。宅地とは、住居や事業地として利用される建物の敷地部分の土地を言います。

宅地の評価方法は、路線価方式または倍率方式です。相続した宅地の計算をどちらの方法ですればよいか分からない場合は、国税局や税務署にある「財産評価基準書」を参照しましょう。

路線価方式は、おもに市街地にある土地に対して用いられる評価方法です。次の計算方法によって算出します。

「路線価×土地の面積=評価額」

評価方法が路線価方式になる土地は、まず土地と接している道路の路線価を調査する必要があります。路線価は、国税庁や税務署の窓口またはホームページで閲覧できる「路線価図」に記載されています。

路線価は、道路に一面のみが接しており、標準的な奥行距離と間口距離の宅地を前提に設定されています。しかし実際には、標準的な土地ばかりが存在するわけではありません。

そこで、特殊な条件の宅地に対しては、路線価に一定の調整を加えて評価額を決定することになっています。これが「画地調整」です。

画地調整には、次のような項目があります。

・側方路線影響加算

正面と側面に道路がある、いわゆる角地です。一面だけが道路に面している土地よりも利用価値が高いとみなされるため、相続税評価額が加算されます。

・二方路線影響加算

正面と裏面に道路がある宅地も利用価値が高いため、相続税評価額が加算されます。

・間口狭小補正

間口の狭い宅地は、奥行価格補正後の路線価に、間口距離に応じた補正率をかけて減算されます。

・がけ地補正

がけ地にある宅地は、がけ地がない場合の価額に対し、がけ地部分の地積割合に応じた補正率をかけて減算されます。

2.借地権

建物を所有する目的で土地を借りている場合、その権利のことを借地権と呼びます。間違えられやすい点ですが、借地権も、相続財産として相続税の課税対象になります。

借地権の相続税評価額は、次の計算方法で算出します。

「自用地としての評価額×借地権割合=評価額」

借地権割合は、国税局が借地事情の似た地域ごとに定めているもので、一般的には土地の価額が高いほど高い数値で設定されています。

路線価方式の地域の借地権割合を確認する方法は、路線価図に記載された路線価の隣にあるアルファベット記号を確認することです。倍率方式の地域の借地権割合は、評価倍率表に記載されています。

3.貸宅地

借地権が設定された宅地は、地主から見た場合には貸宅地となります。貸宅地の相続税評価額は、次の計算方法で算出します。

「自用地としての評価額-借地権の価額=評価額」

4.農地

農地は、宅地への転用許可の要否や宅地の価格の影響などを考慮し、「純農地」「中間農地」「市街地周辺農地」「市街地農地」の4種類に分類されています。農地の評価方法には、倍率方式と宅地比準方式の2つの方法があります。

純農地と中間農地の計算方法は倍率方式で、次の計算方法で算出します。

「固定資産税評価額×倍率=評価額」

市街地周辺農地の計算方法は、次の通りです。

「市街地農地とした場合の評価額×80%」

市街地農地の計算方法は、宅地比準方式か倍率方式で、次の計算方法で算出します。

(宅地とした場合の1㎡価額-1㎡あたりの造成費)×地積=評価額

5.山林

山林は、「純山林」「中間山林」「市街地山林」の3種類に分類されています。山林の評価額の計算方法は、農地の計算方法と基本的には同じです。

純山林と中間山林の評価方法は倍率方式で、市街地山林のみ、評価方法が宅地比準方式または倍率方式となります。ただし、宅地への転用が見込めない市街地山林については、近隣の純山林の価額に比準して評価されます。

 

まとめ

土地を相続する時には、評価額を前もって調べ、相続税の納税額をあらかじめ把握しておきましょう。そうすることで、相続税の納税資金の準備にも役立ちます。同時に、相続した土地を相続人の名義にする「相続登記」も忘れずに行いましょう。

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