土地・不動産 2018.07.05

不動産の相続税対策としてできること

不動産を相続させる被相続人としては、相続人となる家族に重い税負担がかかる事態は避けたいと思うことでしょう。

特に、相続させる不動産が複数あり、それぞれの不動産の評価額が高額になりそうな場合は、相続人に高額な相続税が課されることになりますので、綿密な相続税対策が必要です。
不動産を相続させるにあたり、どのような相続税対策ができるのでしょうか?

今回は、不動産の相続税対策としてできる具体例を3つ、取り上げます。

記事ライター:棚田行政書士

相続税対策その1. 配偶者へ不動産を贈与しておく

持ち家があり、配偶者がいる人であれば、配偶者控除の特例を利用した相続税対策ができます。

この特例は、婚姻期間が20年以上になる夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の基礎控除額110万円に加えて最高2,000万円まで、つまり合計で2,110万円までを非課税で贈与できるというものです。

夫から妻へ不動産の一部または不動産の全部を贈与すれば、夫の財産が減って相続税対策につながるだけでなく、妻の老後の住まいを確保できるという副次的な効果も生まれます。

特例の対象となる「居住用不動産」には、自宅の家屋や敷地などの不動産が該当します。敷地には、借地権も含みます。

相続税対策という観点から見たときに、家屋と敷地どちらの不動産を贈与した方がより効果的な相続税対策になるかについては、個々の人の状況次第です。配偶者控除を利用した相続税対策を検討する際には、以下の3つの点を考慮することができます。

・家屋は経年により価値が下落していく不動産だが、土地は値上がりの可能性を持つ。

・敷地については「小規模宅地等の特例」を適用可能で、配偶者が相続する場合は評価額の圧縮が容易。同時に、贈与による財産の減少効果も圧縮されることとなる。

・相続税対策として効果的で、贈与税も非課税の特例だが、不動産を取得することに際しての不動産取得税や登録免許税などの税金は別途必要になる。

 

相続税対策その2. 単価の安い土地を、単価の高い土地へ買い換える

相続税対策をしたい不動産が土地であり、単価の安い土地であれば、330㎡以下の単価の高い土地へ買い換えることも相続税対策になります。これは「小規模宅地等の特例」を利用した、不動産の相続税対策です。

小規模宅地等の特例では、330㎡までの居住用宅地の評価額について80%もの大幅な減額を認めています。不動産の相続税評価額の大幅な軽減が見込めるので、不動産の相続税対策として非常に魅力的な特例です。

もし、今所有している土地が330㎡を超える広さなら、330㎡を超えた部分は特例の適用外となります。330㎡以下の土地に買い換えるなら、土地の全体に対して特例を適用できるようになります。

つまり、評価額は同等の土地でも、単価の安い郊外から単価の高い都市圏などに買い替えることで、地積が狭くなり、小規模宅地等の特例による不動産の相続税対策が可能になるということです。

 

相続税対策その3. 贈与税の非課税枠内での贈与を進める

相続を開始してからでは、相続税をかけずに財産を移動させることは難しくなります。相続税対策として特に効果的なのは、生前からの少額贈与です。

少額贈与は、不動産に直接関係する相続税対策ではありませんが、早くから着手することで相続税の節税効果を飛躍的に高めることのできる相続税対策です。

さて、贈与は贈与で「贈与税」という税金がかかりますが、贈与する相手1人につき1年間に110万円までの贈与は非課税で行えるという規定があります。

例えば、1,100万円の現金をそのまま相続させてしまうと15%もの相続税が課されてしまいますが、贈与税の非課税枠内で1年に110万円ずつ、10年間贈与すれば相続税をかけずに1,100万円を移動させられます。

この相続税対策を実践する場合のコツは、毎年決まった時期に110万円の現金を贈与するのではなく、毎年不定期に、現金や株式、不動産など財産の種類に変化をつけて贈与することです。

贈与に規則性が見え、相続税対策と察知されてしまうと、「最初から1,100万円全部を贈与して相続税対策するつもりだったのでは?」と税務署に指摘されてしまい、結局、相続税を課されることもあります。

贈与税の非課税枠を利用した相続税対策は、自然さを心がけましょう。

 

まとめ

特例や贈与税の非課税枠をうまく活用することで、不動産の相続税対策は効果的に進めることができます。

ただし、不動産の持ち主である人の意思を本当に反映した相続税対策をしたいなら、生前から開始しておくべきでしょう。

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