土地・不動産 2018.08.13

相続対策を意識したマンション購入について

相続が開始した後に相続人が支払う相続税のことを考え、収益物件としてマンションを購入しておくことにする人もいます。

場合によっては、高齢になったことで庭や樹木の手入れが面倒になったり、防犯面の不安もあったりすることから、戸建て住宅を引き払い、購入したマンションの一室を最後の住居とする人もいます。

ここでは、相続を意識してマンションを購入する時に検討したい購入方法や、適用できる特例制度について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

等価交換によるマンション購入

相続財産となりそうなものが土地くらいしかないのに、相続人は複数人いるという場合には、等価交換でマンションを購入できないかを検討してみることができるでしょう。

等価交換とは、地主が提供した土地と、そこに建つマンションの一部とを「等価」になるように交換するという取引方法です。

等価交換は正確には購入ではなく「交換」ですが、提供した土地に見合う分のマンション内の部屋を自己負担ゼロで手に入れることができるため、ほとんどリスクのない取引になります。

仮に、相続人が3人いて困っている場合、提供する土地の価値に対応するマンションの部屋が3部屋あるとすれば、1人に1部屋ずつ公平に財産を分けることが可能になります。

部屋が複数手に入れば、相続開始までの間、そのうちの一室に自分で住みつつも、他の部屋は賃貸にすることもできるでしょう。等価交換によるマンション購入は、子どもの納税資金を準備するためにもメリットがあります。

購入したマンションに自分や家族が住む必要がないのなら、賃貸物件として入居者を募集し、家賃収入を得ることも可能だからです。

 

「小規模宅地等の特例」の適用範囲内のマンションを購入する

相続される宅地などについては、評価額を減額するための特例制度が設けられています。そのひとつが、小規模宅地等の特例です。

相続する人についての要件など数々の規定はありますが、要件を満たせば50%から80%という大幅な評価減となるため、マンションを購入する際にはぜひ活用したい特例制度です。

マンションは、「貸付事業用宅地」という項目に該当します。この特例では、不動産貸付事業のために使用している200平方メートルまでの宅地については、評価額を50%減額するとしています。

例えば、面積は200平方メートル、評価額は7,000万円のマンションを購入するとします。特例が適用になって50%が減額されれば、半分の3,500万円に対してのみ課税されることになるため、相続税額を各段に抑えることができます。

マンション購入に際して、特例を適用させるには、面積以外にも以下の要件をすべて満たす必要があります。

1.相続人が相続税の申告期限まで、購入したマンションの貸付事業を継続して行うこと
2.相続人が相続税の申告期限まで、購入したマンションを保有し続けること
3.相続開始前3年以内に貸付事業を開始したマンションではないこと

3番目の要件は、平成30年度の税制改正によって加えられたものです。

つまり、被相続人となる人の体調悪化などで相続を意識し始め、慌ててマンションを購入したとしても、購入から3年経たないうちに相続が始まってしまった場合、特例は適用されなくなります。

 

相続対策としての「タワーマンション節税」は今でも有効か

最近まで、資産家や大口投資家の間では「タワーマンション節税」がブームとなっていました。

タワーマンションの固定資産税評価額は専有されている床面積でのみ計算されていたため、税額が階層に左右されることはありませんでした。

しかし、タワーマンションは低層階と高階層の購入価格の差が激しいのが特徴です。眺望の良さや日当たりなどの理由から、高階層になればなるほど人気が高く、購入価格も高くなります。

場合によっては、最高階層と最低層階の購入価格の差は、倍以上になることもあります。

購入価格は大きく異なるのに、固定資産税や不動産取得税が同額ということについては住人も不公平感を持ちますし、有識者の間でも「課税においてバランスを欠いている」としてかねてより問題提起がなされてきました。

平成29年の税制改正により、タワーマンションの区分所有者が納付する固定資産税額については、実際の購入価格を踏まえた按分方法により算出されることとなりました。なお、都市計画税についても同様の見直しがされることになります。

相続財産を減らしつつ税額は抑える、という目的でタワーマンションを購入する人もいましたが、税制改正によってタワーマンション節税はひとまず収束したと考えられます。

 

まとめ

相続対策としてマンションを購入する際には、賃貸経営のリスクを理解すると共に、相続が開始するまでの生活資金や相続税の納税資金を十分手元に残しつつ、熟慮して決定しましょう。

相続は、意外なほど先のことになる場合もあれば、思いがけず突然のことになる場合もあります。どちらに転んでも大丈夫なように、よく計画を練ることが必要です。

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