土地・不動産 2019.02.07

不動産を相続する時に気をつけるべき固定資産税とは

不動産の相続というと、非常に高額な資産を受け継ぐというイメージがあるかと思いますが、実は相続することによって「固定資産税」の納税義務者になるということも忘れてはいけません。
軽い気持ちで不動産を相続してしまうと、かえって「負の遺産」になってしまうこともあるため、注意が必要です。そこで今回は、不動産を相続するときに気をつけるべき「固定資産税」について詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

不動産を相続するとかかる「固定資産税」とは?

固定資産税とは、不動産などの固定資産の所有者に対して課税される税金で、不動産の所在地を管轄する地方自治体によって課税されます。

毎年4〜6月くらい(自治体によって若干異なります)に所有者あてに固定資産税の納税通知書が郵送で届き、金融機関に持ち込んで納税することが可能です。また、事前に手続きをしておけば、口座からの自動引き落としによる納税もできます。

固定資産税の納付書が届くのが4〜6月のため、その時期の所有者に対して課税されると思っている方も多いのですが、実はそうではなく、その年の1月1日時点における不動産の所有者に対して課税されるのです。

よって、1月1日よりも前に相続が発生している場合については、翌年の1月1日以降に届いた固定資産税納税通知書について相続人が納税することになります。

 

固定資産税の計算方法について

固定資産税については、課税標準に1.4%の税率をかけて計算をします。課税標準とは固定資産税評価額のことで、送付されてくる固定資産税の納税通知書でも確認が可能です。

また、事前に固定資産税の金額を確認したい場合は、都税事務所や市町村役場で固定資産税評価証明書を取得することで確認ができます。

不動産を相続した場合は、固定資産税が毎年課税されることになるため、相続する前に金額について確認しておくことが大切です。

 

地方の不動産を相続する際には、固定資産税を必ず確認すること

都心部の不動産を相続する場合については、たとえ使う予定がなかったとしても、賃貸として運用したり、売却して現金化したりするなどといった対応が可能です。

ところが、地方の不動産を相続した場合については、賃貸に出しても借り手がつかず、売りに出しても買い手がつかないというケースも少なくなく、そうなってしまうと所有している間については、固定資産税を払い続けなければなりません。

何の利益も生み出さないのに、固定資産税だけ課税されてしまうということは、まさに相続によって「負の遺産」を取得してしまうことになります。

また、タダでもいいので自治体に引き取ってもらって、固定資産税の負担だけでも回避しようとする方もいますが、よほどの事情がない限り、自治体は相続不動産を引き取ったりしません。

なぜなら、固定資産税による税収が減ってしまうからです。そのため、相続によって地方の不動産を取得する場合については、固定資産税の金額と利用価値を比較して、慎重に検討することをおすすめします。

 

土地を相続する場合は、利用状況によって固定資産税が変わる

不動産の中でも土地については、利用状況によって固定資産税が大幅に変わることに注意が必要です。

具体的には、更地のままの土地を相続したような場合については、土地の評価額に対してそのまま固定資産税が課税されるのですが、土地の上に建物を建てていると、固定資産税の軽減措置が受けられるため、固定資産税が大幅に引き下げられるのです。

相続不動産に更地などが含まれている場合は、そのまま相続すると高額な固定資産税を毎年納税しなければならないため、運用方法についても合わせて検討する必要があるでしょう。

最近では固定資産税を節税するために古くなった空き家を残したままにしている人がいますが、今後管理が行き届いていない「特定空き家」に認定された場合については、たとえ建物が建っていたとしても、固定資産税の軽減措置が受けられなくなるため、注意が必要です。

 

相続不動産を売却した場合の固定資産税の精算について

相続不動産を売却する際にも、固定資産税の負担割合については注意が必要です。通常、不動産の売買契約は年の中の途中で締結して決済することになるため、その場合の固定資産税の精算がポイントとなります。

そもそも、固定資産税については先ほども解説した通り、1月1日時点の所有者に対して課税されるため、仮に6月に決済したとすれば、その年の固定資産税については全額不動産を相続した売主側の負担となるはずです。ただ、それでは1年のうち約半年所有することになる買主との間に不公平が生じてしまいます。

そのため、相続不動産を売却する際には、決済時の売買代金に上乗せする形で、1月1日を起算点として日割り計算した金額を、買主に支払ってもらうよう売買契約で定めることが一般的です。

ですが、不動産を相続した人の中には「3ヶ月ごとに年4回固定資産税を納税しているから、それ以降のものを買主に直接負担して貰えば良いのでは?」という人もいるのですが、役所はあくまで1月1日時点での所有者を納税義務者として捉えているため、相続不動産を売却しても役所側で請求先を途中で変更してもらうことができません。

そのため、相続不動産を売却する際には、決済の精算書において、固定資産税がきちんと精算されているかどうか確認するようにしましょう。

 

まとめ

相続によって不動産を取得すると、同時に固定資産税の納税義務者にもなります。

固定資産税については毎年納税しなければならないため、利用価値の低い地方の不動産を相続すると、固定資産税だけ払い続ける負の遺産になってしまう可能性がありますので、相続するにあたっては慎重な判断が必要です。

また、相続不動産を売却する際には、固定資産税の精算についても漏れなく確認するようにしましょう。

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