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遺言に書く内容について注意するべき点とは?

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遺言事項を正しく理解して作成する

遺言書に記載することで法的効力を持たせられる「遺言事項」は、次のような内容と定められています。

区分 項目 内容
相続および財産の処分に関するもの 相続分の指定 法定相続分と異なる相続分を指定すること
遺産分割方法の指定 相続人ごとに相続させる遺産の種類を指定すること
遺産分割の禁止 死後5年以内の遺産分割を禁止すること
共同相続人間の担保責任の指定

 

相続人が取得した遺産に欠陥があった場合に、他の相続人がその相続分に応じ損失分を補てんするというもの
相続人の廃除および廃除の取り消し 相続人の廃除や、廃除の取り消しを指示できる
特別受益の持ち戻しの免除 生前贈与を相続分に反映させないという指示
遺贈 相続人や相続人以外の人へ財産を贈るという意思表示
遺贈減殺方法の指定 遺留分を侵害する遺贈が複数ある場合、減殺の順所や割合を指定するもの
寄付 財団法人の設立を目的とした寄付の意思表示
信託の設定 信託銀行などに財産を信託するという指示
身分に関すること 子どもの認知 結婚関係外の女性との子どもを認知すること
未成年後見人・監督人の指定 自分の死亡で親権者を失う未成年の子どもの後見人や、その監督人を指定

するもの

その他 遺言執行者の指定 遺言の内容を実行してもらうための遺言執行者を指定する
祭祀継承者の指定 先祖の墓や仏壇などを継承する人を指定する
生命保険金の受取人の変更 平成22年4月1日以降に契約した生命保険の保険金受取人を変更するもの
遺言の撤回および取り消し 遺言の全部または一部を撤回するもの

逆に言えば、これ以外のことを書いても法的効力はないことになります。例えば「葬儀はこのようにしてほしい」とか、「自分の遺体は献体してほしい」などの希望内容を書いたとしても、実現するかどうかは遺族の判断によるものとなるでしょう。

 

特定の相続人に極端に有利・不利な内容ではないか

多くの遺産相続では、相続人は複数になります。そのため、一部の相続人にはたくさんの遺産を相続させるが、他の相続人にはほんの少しの遺産しか相続させないという極端な内容の遺言が作成されることもあります。

たくさんの遺産をもらう相続人にとってはありがたい内容かもしれませんが、そうでない相続人にとっては納得がいかない内容となるでしょう。

遺言に関係なく最低限相続できると法定されている「遺留分」まで侵害するような内容であれば、たくさんの遺産を相続する相続人は遺留分減殺請求を起こされることになり、ストレスを感じることになりかねません。

そのため、たとえ正当な理由があるとしても、あまりに極端な内容の遺言にならないよう注意しましょう。相続財産に差を付けた内容にする場合は、続く部分で解説しているように、理由を明確に記載しておきましょう。

 

イレギュラーな内容の遺言をする場合、理由を明確にしているか

一部の相続人に多くの遺産を相続させたい、相続人ではない人に遺産を贈りたいという内容の遺言を作成する場合は、その理由を明確に記載しておきましょう。

例えば、「○○は私達夫婦と長年同居し生活の様々な面倒を見てくれたので、それに報いるため」とか、「長男の妻○○は長男の存命中その事業を支え、療養中は献身的に看護に努めてくれたため、感謝の気持ちとして○○を贈る」など、なぜそのような内容の遺言をしたのかが相続人全員に明らかになるように記載すべきです。

きちんと理由が書いてあれば、有利な相続人や遺贈を受ける人が「自分が多くもらえるように遺言の内容を偽造したのでは?」などと疑われることも少なくなるでしょうし、他の相続人の心証も少しは違ってくるでしょう。

 

遺言者の意思が明確な内容か

遺言書の内容は、あいまいさがなく、遺言者の確かな意思が伝わる内容であるべきです。読む人によって受け取り方が変わるような内容の文や言い方を記載してしまうと、相続人の間でトラブルが巻き起こる可能性もあります。

相続させる財産の内容や相続人を具体的に示すとともに、「~としたい」や「~するものとする」など、明確な意思が伺えない語尾にならないように気を付けましょう。

 

まとめ

適正な内容が記載された遺言書は、残される家族にとって非常にありがたいものです。大雑把な内容の遺言はトラブルの元になりますから、相続人全員がスムーズに気持ちよく相続できるよう、内容によく注意して作成しましょう。