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相続人が準確定申告をしなければならないのはどんな場合?

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相続の際に行う準確定申告とは

被相続人が年度の途中で亡くなった場合、その年の1月1日から亡くなった日までの間に所得があれば、所得税が発生している可能性があります。所得税というのは、納税者が税額を計算して納付する申告納税方式になっていますから、所得税を納付するには確定申告を行わなければなりません。

被相続人の所得税については、被相続人自身は亡くなっていますから自分で確定申告を行うことはできません。そのため、相続人が代わりに確定申告を行うことになります。相続人が行う確定申告は、「準確定申告」と呼ばれています。準確定申告とは、言い換えると、相続人が行う被相続人の所得税の申告手続きということになります。

 

相続で準確定申告が必要になるのはどんな場合?

サラリーマンの相続人は原則として準確定申告不要

サラリーマンの場合、通常は毎月の給与から源泉徴収という形で所得税を支払っています。ただし、源泉徴収された額は概算にすぎませんから、年度末に年末調整をして所得税の精算を行うことになります。

サラリーマンが年度の途中で亡くなった場合にも、亡くなるまでの所得税は源泉徴収されていますから、年末調整により精算してもらうことができます。つまり、被相続人がサラリーマンである場合には、相続人は原則的に準確定申告を行う必要はないということです。

相続人に準確定申告義務が生ずるケースとは?

相続人が準確定申告義務を負うのは、確定申告をする必要がある人が亡くなった場合です。具体的には、次のようなケースで準確定申告が必要になります。

(1) 被相続人が個人で事業を行っていた場合

個人事業主の場合には、会社で年末調整をしてもらうというわけにはいきませんので、毎年自分で確定申告を行う必要があります。例年確定申告をしていた個人事業主が亡くなった場合、相続人は準確定申告を行わなければなりません。

(2) 被相続人が収益用不動産を所有していた場合

被相続人が収益用不動産を所有して家賃収入を得ていた場合には、その家賃収入に対して所得税がかかります。つまり、家賃収入を得ていた人が亡くなった場合にも、相続人は準確定申告を行う義務があります。

(3) 被相続人の公的年金収入が400万円を超えている場合など

公的年金については、確定申告不要制度により、400万円以下であれば確定申告する必要はありません。もし被相続人の公的年金収入が400万円を超えていれば、相続人に準確定申告義務が生じます。また、被相続人が公的年金受給者で、公的年金以外の所得が20万円を超えている場合にも、相続人は準確定申告を行う必要があります。

(4) その他に準確定申告が必要なケース

準確定申告が必要なケースとしては、その他に、被相続人が2ヶ所以上から給与をもらっていた場合、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超えた場合、生命保険などの満期金や一時金を受け取っていた場合、土地や建物を売却した場合などがあります。

準確定申告により税金が還付されることもある

被相続人が高額な医療費を払っていた場合には、相続人には準確定申告義務はありませんが、準確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。住宅ローン控除、寄付金控除、雑損控除、配当控除などの各種控除の適用を受ける場合にも、準確定申告が必要になります。

 

準確定申告をする際の注意点

相続開始を知ったときから4ヶ月以内に申告が必要

準確定申告の期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」となっています。通常の確定申告は所得があった年の翌年の2月16日から3月15日までとされているため、相続人が確定申告する場合も、来年でいいものと勘違いしてしまうことがあります。

準確定申告の期限内に申告・納税ができなかった場合、遅れた日数に応じた延滞税が加算されるほか、無申告加算税も課されることになりますから、注意しておきましょう。

2年分の準確定申告が必要なケースもある

被相続人が1月1日から3月15日までの間に亡くなり、前年分の確定申告をしていない場合には、前年分についても相続人が準確定申告をする必要があります。この場合にも、準確定申告の期限は相続開始を知ったときから4ヶ月以内となります。